スポーツのトレーニングで心肺機能を高めるために、空気の薄い高地でトレーニングする方法があります。
昨今のコロナ禍で、海外の高地合宿に行けない場合、国内で高地トレーニングをやったり、高地トレーニングに代わる方法で練習せざるを得ない場合がありますね。
今回は、高地トレーニングと同等の効果が得られるトレーニング方法について検討してみたいと思います。
高地トレーニング
高度が人に与える影響はかなり大きい。
地球の大気圏内では、高地への移動などにより高度が上がるにつれ、気圧や気温が低下し、人の呼吸に必要な酸素を含む空気が希薄になるためである。
ヘモグロビンの酸素飽和度は、血液中の酸素の量を決定する。
人体が海抜高度2,100mに達すると、酸素で飽和したヘモグロビンの割合は急落し始める。
しかし、人体は短期的にも長期的にも高度に順応し、酸素の不足をある程度補償することができる。
アスリートは、この順応を利用してパフォーマンスを向上させる。
しかし、順応には限度があり、登山家は8,000mを超える高度を「デス・ゾーン」と呼び、ここでは人体は順応することができない。
持久力のアップ
全身持久力を計る指標として、1分間で体内に摂取できる酸素量を量る「最大酸素摂取量(VO2MAX)」というものがあり、この値が高いほど持久力が優れているとされます。
高地でトレーニングを行うことで、酸素の運搬能力・筋肉での酸素消費能力が高まり、最大酸素摂取量が向上します。
また筋肉への酸素供給が十分に行われるため、全身持久力と共に筋持久力も向上する効果が期待できます。
高地トレーニングのデメリット
高地では平地以上に疲労回復に時間を費やします。
体調の変化が著しく、睡眠にも影響を及ぼすことがあります。
高地トレーニングは、メリットだけでなく、デメリットもありますね。
高地トレーニングと同等の効果を平地で得られるうまい方法があれば、高地トレーニングのデメリットも解消できるので、一石二鳥とも言えます。
水泳のハイポキシック・トレーニング
競泳の練習で「ハイポ」という呼吸の練習があります。
選手が意識的に呼吸の頻度を低下させて,体内で酸素不足の状態を作り出し,運動中のエネルギー代謝に占める無酸素性解糖の割合を高めることにより,耐酸性能力を向上させようとするトレーニングである。
1970年代の中ごろから流行した。
しかし最近の研究によると,必ずしもトレーニング効果が高まるとはいえないようである。
クロールで3かきに1回呼吸する場合は「ハイポ3」、5回に1回呼吸する場合は「ハイポ5」などと言い、リラックスして泳ぎながら低酸素でも泳げるように練習して、心肺機能を高めていきます。
ハイポにはデメリットもあり、呼吸が雑になるとフォームも崩れたりして、逆に泳ぐのが遅くなる場合もあります。
水泳のハイポを参考にすれば、他のスポーツでも応用できるでしょうか?
低酸素の運動
陸上で酸素を制限したトレーニングも、いろいろあります。
などの方法もあるようです。
低酸素トレーニングでサイトウ君を鍛えてみた。 - YouTube
呼吸のトレーニング
運動中に酸素摂取量をコントロールして、高地と同様の低酸素状態を作り出し、心肺機能を高めるだけでなく、普段の生活でも呼吸をコントロールしてトレーニングに役立てることは可能です。
単純には、ゆっくり長い呼吸を続ければ、少ない酸素量でも過ごせるようになります。
基礎代謝(きそたいしゃ、英: Basal metabolic rate BMR)とは、覚醒状態の生命活動を維持するために生体で自動的に(生理的に)行われている活動における必要最低限のエネルギーのことである。
相当するエネルギー量(熱量)は、成長期が終了して代謝が安定した一般成人で、1日に女性で約1,200、男性で約1,500キロカロリー(kcal)とされている。
消費量は大人の場合肝臓が27%、脳が19%、筋肉(骨格筋)が18%で、この3器官のみで6割以上を占める。
じっと寝ている状態=運動していない状態でも消費されていく体内エネルギーのことを「基礎代謝」と言います。
呼吸を長くしてリラックスすれば、基礎代謝を節約することができるようになります。
基礎代謝が少なければ、必要になる酸素量も節約できるので、平地にいながらにして低酸素でも過ごせるようになります。
アーナ・パーナ・サティー
最近、リラックス法の1つとして「マインドフルネス」という方法が流行っています。
マインドフルネスで使われている呼吸法の中に、「アーナ・パーナ・サティー」という簡単な呼吸法があります。
アーナ・パーナ・サティーのやり方はシンプルで、
- 鼻先から鼻腔あたりを意識する。
- 呼吸するとき、空気の入りと出を意識する。
- ゆっくり長く呼吸する。
これを空き時間などに数分やればOK。
(注意点がたくさんある難しい方法よりも、シンプルな方が長続きする?)
普段の呼吸もなるべくゆっくり長く保てれば、酸素の必要量も少なくして過ごすことができるようになります。
(無理して呼吸をゆっくりにして、逆に息が苦しくなっても意味がないので、徐々に長くできればOK)
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まとめ
- 高地合宿に行けない場合でも、平地で低酸素トレーニングは可能。
- 低酸素ルームでトレーニング。
- トレーニング用の低酸素マスクを利用。
- 筋肉内を低酸素にする加圧トレーニングやスロートレーニングを採用。
- 普段の呼吸もゆっくり長く行えば、体を低酸素に慣らせる。
平地でも高地トレーニングと同様の効果を得られる方法を検討して、心肺機能の強化にお役立てください。
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