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ゴースト血管をつくらない33のメソッド

毛細血管を丈夫にする方法を解説した本がありました。

「ゴースト血管をつくらない33のメソッド」という本です。

スポーツのトレーニングで心肺機能を強化する一環として、血管もパワーアップしたいと思います。

 

ゴースト血管をつくらない33のメソッド

ゴースト血管をつくらない33のメソッド

  • 作者:高倉 伸幸
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 単行本
 

 

 

目次

はじめに

あなたのゴースト血管化をチェック!

 

第1章 人は毛細血管とともに老いる

 生命に大きな影響を与える毛細血管
 血管は縦横無尽に体内を走っている
 それぞれの毛細血管のミッション
 毛細血管の運搬法
 毛細血管はホルモンの情報を伝達する
 毛細血管は免疫にはたらく
 毛細血管は体のバランスを保つ
 血管はなぜゴースト化するのか
 column@高倉Lab がん治療にも応用される「アンジオクラインシグナル」

 

第2章 ゴースト血管と病気

 血管がゴースト化すると全身に悪影響が!
 重い便秘はゴースト血管のせい?
 毛細血管の減少が肝硬変の原因に!?
 腎臓の機能低下はゴースト血管が招く
 ゴースト血管が糖尿病の原因に!?
 ゴースト血管と肺の病気
 アトピー性皮膚炎も血管病!?
 過剰な毛細血管がリウマチを悪化させる
 骨粗しょう症もゴースト血管が原因
 ゴースト血管で失明に?
 認知症の要因はゴースト血管だった!
 血管がゴースト化すると抗がん剤が効かない!?
 column@高倉Lab がん細胞を増殖させる「がん幹細胞」

 

第3章 ゴースト血管と老化

 体内の37兆個の細胞に「老化」というイベントが起こる
 「糖化」は体のコゲ
 「酸化」は体のサビ
 毛細血管が少ないと老けて見える!?
 毛細血管と肌の深い関係
 毛細血管の減少が薄毛の原因に!
 更年期は血管のダメージから起きる
 column@高倉Lab 毛細血管がよみがえる「血管新生」のしくみ

 

第4章 人は毛細血管とともに若返る

 毛細血管は何歳からでも改善できる
 血流をよくすればゴースト化は防げる
 免疫力を上げると毛細血管を維持できる
 毛細血管も自律神経の影響を受けている
 リンパ管は毛細血管のサポーター
 column@高倉Lab 脳は記憶で傷を修復する!?

 

第5章 ゴースト血管をつくらない33のメソッド

 血管力を上げる簡単メソッドを生活習慣に!
 Ⅰ 血液の質をよくする
  メソッド1 バランスのよい食事を心がける
 Ⅱ 「どう食べるか」も重要
  メソッド2 食事は腹八分目
  メソッド3 一気に食べない
  メソッド4 一気に飲むのも危険
  メソッド5 少量を分けて栄養摂取
  メソッド6 糖質はほどほどに
 Ⅲ 血管をしなやかにする
  メソッド7 うまみ成分を生かす
  メソッド8 お酢を活用する
  メソッド9 油は選んで使う
  メソッド10 スパイスを上手に使う
  メソッド11 カリウムを多く摂る
 Ⅳ 自律神経のバランスを保つ
  メソッド12 呼吸を整える
  メソッド13 片鼻呼吸法で副交感神経を活性化
  メソッド14 ゆっくりバスタイム
 Ⅴ 血流をアップする
  メソッド15 運動を習慣化する
  メソッド16 1日1回だけしっかり運動する
  メソッド17 「ながら」で運動する
  メソッド18 かかと上げを習慣に
  メソッド19 かかと上げ・応用編
 Ⅵ 下半身を鍛えて血流を上げる
  メソッド20 スクワットが効く!
  メソッド21 ステーショナリーランジで筋トレ
 Ⅶ 血管に刺激を与える
  メソッド22 血管マッサージで血管を刺激する
 Ⅷ ぐっすり眠って血管を修復する
  メソッド23 体内時計をリセットする
  メソッド24 メラトニンの原料を摂る
  メソッド25 夜は光の刺激に注意する
 Ⅸ タイツー(Tie2)を活性化する
  メソッド26 シナモンを摂取する
  メソッド27 シナモン+ショウガで血管の状態を整える
  メソッド28 シナモン+バナナで簡単デザート
  メソッド29 料理にもシナモンを
  メソッド30 注目の食材・ヒハツを摂る
  メソッド31 ヒハツを料理に使う
  メソッド32 春の山菜・ウコギを摂る
  メソッド33 ルイボスティーを飲む

 

ゴースト血管にまつわるアレコレQ&A

おわりに

 

著者紹介

高倉 伸幸 (たかくら・のぶゆき)

1962(昭和37)年生まれ。

大阪大学微生物病研究所情報伝達分野教授。

1988(昭和63)年三重大学医学部卒。

5年間血液内科医として臨床に従事。

その後、画期的ながん治療薬および組織再生療法の開発をめざして基礎研究に入る。

1997(平成9)年京都大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。

熊本大学医学部にて助手~助教授を経て、2001(平成13)年~2006(平成18)年まで金沢大学がん研究所教授。

2006(平成18)年より現職。

日本血管生物医学会理事(2014~2018年・理事長)、大阪大学大学院医学系研究科・組織再構築学講座、金沢大学がん進展制御研究所客員教授を兼ねる。

組織再生やがん組織における血管研究において新しい解析結果を次々発表・報告するこの分野のトップランナーの一人。

2018(平成30)年 に「NHKスペシャル」「あさイチ」に出演。

ゴースト血管に警鐘を鳴らし、話題を呼んだ。

ゴースト血管という言葉の命名者でもある。

 

st.biken.osaka-u.ac.jp

 

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出版社情報

mainichibooks.com

 

書評

以前に読んだ血管の本「【図解】毛細血管が寿命をのばす」と同様に、毛細血管を丈夫にする方法が紹介されていました。

 

lifeimprovement.hatenablog.com

 

本書「ゴースト血管をつくらない33のメソッド」は、Tie2受容体とアンジオポエチンの仕組みについて、より詳しく解説してあるように思いました。

 

(p.162~p.175)

第5章 Ⅸ「タイツー(Tie2)を活性化する」辺りに、詳細な解説があります。

 

 毛細血管の細胞壁からは、アンジオポエチン1という分子が分泌されています、これが血管内皮細胞のタイツーという分子を活性化することで、血管内皮細胞同士の接着を誘導し、最終的に壁細胞と内皮細胞が接着します。

 アンジオポエチン1の分泌は、加齢とともに減少します。また、酸化ストレス他さまざまな原因で壁細胞が傷つくと、タイツーが活性化されなくなります。内皮細胞と壁細胞の隙間が開き、内皮細胞同士の接着もゆるくなり、血管内の成分が過剰に出てしまうのです。

 これによって、酸素や栄養が全身に行き渡らなくなり、老化や病気の原因につながります。

 

運動性溶血の対策

スポーツ選手で、毛細血管の漏れによる血漿(血液の液体成分)の流出が、どのような影響をもたらすでしょうか?

例えば、長距離を走ると着地の衝撃によって足裏で赤血球が壊れたり、足裏の毛細血管もちょっと破れたりするでしょう。(運動性溶血)

 

www.google.com

 

ja.wikipedia.org

 

スポーツ貧血 (英: sports anemia) とは、激しい運動をすることが原因で起きる貧血である。

本来、健康増進の為のものであるスポーツであるが、国代表クラスあるいは国体クラスの競技者には一般人よりも多くの貧血が見られる。

スポーツ選手に多い貧血は、原因としては鉄欠乏性貧血が多く、一部には溶血性貧血が見られる。

スポーツ選手の貧血は軽度の貧血が多いもののオーバートレーニングを続けるとより重症となる。

スポーツが原因の溶血性貧血は運動をすることによって足の裏の血管内で自らの赤血球を数多く踏み潰してしまうことで発生し、その昔は軍隊の長時間の行軍で兵士の尿に赤血球の中身であるヘモグロビンが見られ、血液学で行軍ヘモグロビン尿症 (英: march hemoglobinuria) といわれるものと本質的に同じものである。

 

自分の赤血球を自分で踏み潰している訳なので、運動を控えれば溶血はしない。

したがって医学的には治療の対象とは考えられておらず、運動を続ける場合でも靴底のクッションの効いた靴や走り方の改善、柔らかい土の上を走るなどの工夫で改善できる。(軍隊のように決まった固い靴で運動を強制される場合は別である)

運動の種類としてはマラソンはもちろん、素足で強く踏み込む剣道や空手、あるいは手を打ち付ける動作の多いコンガやドラム奏者にも起きることがある。空手ではコブシ、足裏の両方で溶血しうる。

この自分の赤血球を自分で踏み潰す溶血の起こりやすさは個人差が大きく、発症しない人と発症しやすい人がいる。なぜ個人差があり発症しない人と発症しやすい人がいるのかについては分かっていない。

 

長距離を走ると、

  • 足裏で赤血球が壊れる。
  • (毛細血管が弱い場合は)毛細血管が裂けて血漿が漏れる。

といった現象が起こっていることに注目しましょう。

 

運動性溶血、スポーツ貧血については別途検討してみたいと思います。

 

毛細血管を強化する食品

日頃から毛細血管を鍛えて丈夫にしておけば、激しい運動でも毛細血管が壊れにくくなりますね。

 

(p.164)

このタイツーを活性化する、アンジオポエチン1と同じはたらきをする物質を摂取することで、タイツーを活性化することができます。

 

セイロンシナモン

タイツー活性化以外にも、多くの健康効果・効能があるとされるシナモン。

シナモンを摂取すると、2~3時間で血管の過剰な漏れを防いだとう報告もあります。即効性のある成分なので、日常的に摂っていきましょう。

 

  • メソッド26 シナモンを摂取する
  • メソッド27 シナモン+ショウガで血管の状態を整える
  • メソッド28 シナモン+バナナで簡単デザート

 

ヒハツ(ロングペッパー)
  • メソッド30 注目の食材・ヒハツを摂る

  

タイツーを活性化する食材として、最近注目されているのが「ヒハツ(ヒバーチ)」。聞きなれない名前かもしれませんが、東南アジアに分布するコショウ科の植物で、英語ではロングペッパーと呼ばれています。

 

(p.169)

●足のむくみ改善試験

 微温湯を浸したガラス製容器に、膝蓋骨中心点以下を浸して、増加した水位と底面積との積を下腿体積として、朝と夕方で同じ条件で測定を行いました。

 その結果、朝夕の下腿体積の変化量(むくみ度)は、ヒハツ摂取によって、小さくなる傾向が確認されました。

 

ルイボスティー

 

(p.173)

健康茶として人気のある「ルイボスティー」にも、タイツーを活性化する成分が含まれています。

ルイボスとは、南アフリカ共和国のセダルバーグ山脈一帯のみに自生する、マメ亜科の植物です。その葉を乾燥させたものがルイボスティーで、紅茶のような色ですが、カフェインは含まず、タンニンはごくわずか。ほのかな甘みが特徴です。ルイボスティーは、クセがなく、飽きのこない味なので、タイツーを活性化するために、毎日の習慣にしたい飲み物です。

 

 

 

 

(p.173)

 タイツーを活性化する食品をいくつか紹介しました。実はタイツー自体も、まだまだ未知の部分が多い成分です。シナモンに含まれるβシリンガレシノール、ヒハツのピペリンルイボスティーフラボノイドなど、それぞれカテゴリーが違う成分というところも非常に興味深い。

 あえて共通点をあげるとすれば、その香りです。どれも鼻につんとくる、独特の香りがします。

 現在のところは、タイツーを活性化する成分が、ダイレクトに毛細血管の血管内皮細胞に刺激を与えると考えられていますが、壁細胞にも影響するかもしれません。

 

ゴースト血管にまつわるアレコレQ&A

(p.183)

Q タイツー(Tie2)を活性化させる食材――シナモン、ヒハツ、ウコギ、ルイボスティーは、どれを食べても効果は一緒ですか?

A それぞれの食材には、タイツーを活性化させる成分だけでなく、いろいろな物質が含まれています。それぞれの食材が持つ特徴に加え、タイツー活性があると考えていただくといいと思います。

 

Q タイツーを活性化させる食材を摂取して、どれくらいで効果が出ますか?

A これまで食材だけでも1~2週間で効果が出てくるということを経験しております。ただ食材だけでなく、運動による血流アップによる効果で、筋力をつけつつ、毛細血管構造の維持を目指していただくといいと思います。

 

Q シナモン、ヒハツ、ウコギ、ルイボスティーは、それぞれどれくらいの量を摂取すればいいのですか?

A シナモンは試験管内で観察されるタイツー活性の濃度から計算して、1日1回600mgくらいです。

 ヒハツは、試験管内と人への投与の経験から、1日1回数10~300mg程度です。

 ルイボスティーの場合は、濾し出され方(濃度)によって変わると思いますので、どれくらいという目安が難しいです。日本茶や紅茶の代替として、食後に飲まれるのでいいと思います。

 ウコギはまだ解析がはじまったばかりで量的なことが言えませんが、シナモンと同じ成分がタイツー活性の本体であると思われるので、シナモンに準じて考えていただければと思います。

 

Q タイツーを活性化させる薬はありますか?

A 現在、多くの製薬企業でタイツー活性化を誘導する治療薬の開発が進められてきています。中でも、カナダの企業では、数年後を目標に、肺の血管が障害を受け、透過性(漏れ)の亢進で、呼吸機能が低下して致死的になる「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」での治験を目指しています。他にもさまざまな領域で、タイツー活性化を誘導する治療薬ができることが期待されます。

 

ja.wikipedia.org

 

急性呼吸窮迫症候群 (きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、acute respiratory distress syndrome, ARDS) とは、臨床的に重症の状態の患者に突然起こる呼吸不全の一種である。

特に発症前後の状態を急性肺傷害 (acute lung injury, ALI) と言う。 

 

アンジオポエチン1と同様の物質は経口摂取でも体内で末端まで届くなら、サプリメントや薬みたいな形にできるはずですね。

食材から摂取するのもいいですが、管理が面倒な人にとっては、サプリメントとかがあれば便利かも?😊

 

(p.186)

おわりに

 私が医学の中に身を置こうと決めたのは高校生のとき。レオナルド・ダ・ヴィンチに影響を受けたことがきっかけでした。

 ルネサンス時代の寵児として知られる彼の「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記」の中にあった、「科学のみならず、芸術的な発想を豊かにするためには『生命体の解剖学』が非常に重要である」という一文に開眼したのです。

 解剖学の重要性を説いたダ・ヴィンチは、非常に多くの人物の解剖スケッチを残しています。もちろん、骨格となる骨や筋肉は驚くほど繊細に描かれています。でも私が興味を持ったのは「血管」でした。16世紀、動脈や静脈という概念があったかどうかわかりません。しかし、くまなく体内を走行する血管は、まるで生きているかのよう。彼は、人物を描くとき、骨、筋肉、そしておそらくは血管の走行性をも含めて、「肉体」を表現していたように思います。

 ただし、彼の生きた時代にはまだ顕微鏡が発明されておらず、毛細血管を目で見ることはできなかったはずです。もしも、ダ・ヴィンチに毛細血管を見ることができたら、彼の人物像はどのように変化したでしょうか。想像するだけでわくわくしてきます。

 現代の私たちは、目に見える動脈や静脈という血管以外にも、細胞や組織に酸素や栄養を運ぶ毛細血管が体中に巡っていることを知っています。また、毛細血管の生体維持の驚くべき機能も解明されてきました。

 医学や生理学の発展は、人間の寿命を格段と長くすることに成功しました。しかし、健康寿命が延伸されなければ真の貢献とはならないのです。

 毛細血管のゴースト化は、加齢性疾患の原因にも直結することがわかりつつあります。

 今後、毛細血管を意識し、イマジネーションをはたらかせた「芸術的医療」が必要になっていくことは間違いありません。本書が、毛細血管に基礎をおく生物医学の発展に寄与することを期待しています。

 

     2019年2月     高倉信幸

 

「芸術的医療」という概念は、ちょっとよく分かりませんが、人体構造の細部を見直すことによって新たな発見を得て、医学がさらに発展する可能性は大いにあると思います。

本書を参考にして、血管に対する理解を深め、自分の体を管理していきたいと思います。